共同企業体(以下JVと言う)は、普通型枠の材種について、基礎にはラス(金網)、スラブ(床)にはフラットスラブ(金属板)を使用する施工方法を用いることを監督職員(以下、監理者と言う)に伝えました。
それに対する監理者の指示は、「JVの施工方法は認めない。合板型枠を使用せよ」と言うのです。JVは、理不尽な物言いとは分かりながら、監理者の指示に従って工事を進めています。
契約約款第1条第3項では、【仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という)については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、乙(請負者)がその責任において定める】と記載されています。約款及び設計図書を詳細に検討して見ましたが、特別の定めはありません。ですから貴殿の物言いは契約違反であります。
監理者と施工者は殿上人と地下人であります。貴殿はそう思っていないでしょうし、私もそう思っていません。ところが、建設業の長い歴史の中で主従の関係が確立されてきたのです。その習慣が、監理者に無理無体を言わせ、請負人である施工者は納得しないまま従うことになります。
「貴殿は、発注者の代理者でありますね。その貴殿は、この施設を使う地域の人たちに心を馳せながら工事監理をしていますか?もっと市民の声を尊重し、その人々のプロジェクトへの参画を実現する努力をしていますか?」こんなことを言おうものなら、「何を生意気な、請負人の分際で出すぎた振る舞い、まかりならない」そんなところが貴殿の心根ではないでしょうか。
監理者だけが市民のために働いているなどと思っているならおこがましい。"施工者だって儲けのためばかりだ"などと思い違いをなさらないことです。施工者だって市民の利益のために役立たなければ会社は腐って消えてしまいます。
21世紀を迎え、官僚に依存せず、談合に加わらず。新しい建設業を目指す者としては、無理無体の振る舞いに頭を垂れるわけにはいきません。
『普通型枠材料については、監理者の権限を主張し、JVの施工方法を認めず』。これにより発生した損害については賠償請求をします。そうしないと、殿上人の錯覚による過ちが、繰り返し反省もなく行なわれるからであります。
設計上の間違いや非常識な過大設計などを改善するとともに、安定した品質の建物をより安く造ることに全く役立たない工事監理も改めさせなければなりません。
施工者としても無駄をなくして、それから捻出した費用を近隣住民のために使うべきだと思うからです。今回の入札で低減された1億円以上の費用の使い道についても、情報公開を求めることにします。
JVは、9月から11月末までに監理者と18件の協議を実施しました。一部は見解が示されましたが、その多くは繰り返し返答を求めているのに曖昧にされ、その結果、専門工事会社との契約や、工事の計画に影響が発生しています。これは監理者が、自らの判断で返答する権限を持たず、ひとつひとつその上司の判断を仰いでいるからだとも言えます。このような工事監理を改善させなければなりません。
契約約款第12条4項では【乙(請負者)は、監督職員がその職務の執行につき著しく不適当と認められるときは、甲(発注者)に対して、その理由を明示した書面により、必要な措置をとるべきことを請求することができる】と記載されており、この条文に基づいて請求を検討しなければならない段階にきています。
公共工事の談合が引き続き行なわれている原因とその責任は、役人にあります。税金を無駄に使い、利用者である市民の要求に応えないもの造りの責任も、役人にあります。
なぜならば、談合させない仕組みの立案は、役人の役割であって他の者の役割ではないからです。設計されたものが使い良いか、メンテナンスに費用がかからないか、工事費は妥当か、この判断は、役人の役割であって他の者の役割ではないからです。
役人は、このような役割は放棄し、一部とは言いがたい利権体質の議員の要求を調整することが仕事だと錯覚しています。こんな役人の意識と組織を叩き壊し、改革しない限り、市民にとって成長なき時代を健やかに生きる道は開かれません。