鉄筋コンクリート造の建物を造るには、流動体の生コンを入れる鋳型が必要であり、それを型枠と言います。型枠は使用する部位により基礎型枠・躯体型枠、求められる精度により普通型枠・打放し型枠などに分類されます。
今回の話は基礎型枠で普通型枠の話ですが、この型枠に私達の共同企業体(以下JVと言う)では「ラス型枠」(鉄筋で作った力骨に金属網を取り付けた型枠)を採用することにしました。ところが市職員である工事監理者はコンパネと俗称する合板型枠を使えと言うのです。
工事請負契約は特記仕様書、共通仕様書、設計図などを基に締結します。普通型枠について特記仕様書には何の記述もなく、共通仕様書では金属板、プラスチック、スレート、コンクリートブロック、ラスなど多様な材料が認められていて、その採用については工事監理者と相談するよう記載されています。
JVは契約に基づき、ラス型枠の品質、経済性、施工能率などを検討した上で、公共工事での実施例などを添えてその採用を求めました。が、使用経験がないという理由でそれは認められません。(市としての採用実績はあるのにです)自然保護の観点から合板型枠の使用自粛が叫ばれている昨今、これは全く馬鹿げた言い分であります。
この結果、直接工事費だけで約280万円、工程が14日くらい伸びる分を金額的に換算したらとても大きな出費をJVは強いられることになりました。
この設計図には、基礎工事において、近接する擁壁を保護するために、山留を行なうよう書かれています。この山留は指定仮設と言って、工事監理者の承諾なくして変更できません。
そこでJVは、不必要と思われるものの、工事監理者の顔も立つ現実的な提案をしました。ところがやはり認めようとしない。
後日、赤子にも分るように親切丁寧に説明するとようやく、「一部(地中梁部分)は認めるが、技術的対策を講じたうえで」と言うのです。必要性ゼロのものをなくすのに対策もヘチマもあったものではありません。しかも「取りやめたら減額し、減額金額は市の予算表により処理する」と言うのです。減額することは良しとしましょう。けれど、その減額金額は、JVの申請額を検討・承認するという当たり前のやり方ではなく、市の予算表でやってしまうというのです。
恐れ入りました、呆れました。いっそのこと、打ち込めない鋼矢板を打設して、鋼矢板の切断費や処分費を変更工事で請求しましょう。しかし、こんなことを喜ぶ人がいるのでしょうか。
JVは予定価格より約1億円安く受注し、無駄のない工事に努めています。市は低入札価格調査を実施しながら、財政支出低減に貢献したJVに、何の配慮もしません。そればかりか、"低額受注でも工事はできる"このための諸提案を認めないのです。ところがこのような結果は、JV会社の利益を圧迫し、JV会社が市に納める税金を減らすということにもつながります。こんな行為が、工事監理者の判断という名のもとに、契約内容を曲げてまで行なわれているのです。
税収不足、行政改革の必要性が叫ばれる時代、地頭の言いなりになって黙っている訳にはいきません。個人的な感情論ではなく、全国自治体の改革のためにも、であります。これらの問題を広く開示し、正しく解決するよう取り組んでいきます。