当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)

遊自耕 不常識を食らう シリーズno.140

塵芥の中から探す

辞めていく新入社員たち

今春の新卒新入社員は総勢5名。全て中国人で日本人はゼロ。リーマンショックに端を発した不況で業績を落とし、なかなか回復しない会社への不人気か? けれど、それだけとは思えません。

入社した5名は、研修中に1名退職。その後も、半月の研修を経て配属を命じると同時に1名、職場に就いて1週間以内に2名が退職し、現在も働いているのは1名だけです。

振り返ってみると、昨年も同様。入社時5名だったのが、研修と試用期間中に4名が退職し、残った1名が今悩みながら働いています。

社員いじめの会社では? と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、特に挙げて語るほどのことはありません。危険、きつい、汚いなどということもほとんどありません(建築現場では一寸ありますが…)。

辞めていった理由

事前に、私の著書『“良い建築を安く”は実現できる!』と『社員が進んで働くしくみ』を読んできてもらい、11月に内定者研修を行いました。そして、人の話を良く聞くこと、自分の意見を述べることの重要性を伝えました。それなのに、「なぜ希望社に入ったの?」「どう働こうと思っているの?」という感じのミーティングが中心の入社後の研修に、彼らはなかなかついてこられません。

研修中に退職した女性は、新中国の富豪の若奥様。「低所得者や弱者のため」「顧客のために薄利で」「儲かるからと言って誰彼かまわず業務を提供しない」こんな当社の方針についていけず、日本に残って経験を積むより、母国に帰って育児に励むことになりました。

「研修期間の3ヶ月、富山や宇都宮での勤務を命じられたが、岐阜から離れて働けない。」これが、配属直後と、配属後1週間以内に退職した2名の女性の理由です(いずれも彼氏と同棲しているとの事)。

そして、もう1人の男性の理由は「研修先がビジネスホテル[ウィークリー翔]では、研修後、希望する建築業務に就けるとは思えない」というものです。

「職種・勤務地は特定しない」という当社の正社員の条件を、理解し受け入れた上での入社であり、研修を経て理解を深くしての配属であると思っていたのに、研修の会話はほとんど生きない結末でした。

現代学生気質

大学は研究の場だと、良く耳にします。だが学生生活は、バイト、部活、就活、恋活の明け暮れで、勉強などしているとは到底思えません。

学力の低さにも目を見張ります。昨年の就職試験での漢字書き取りは半分しかできず、時事用語の平均正解率は10%と、中学生とほとんど変わりません。

こんな無能集団との会話に是れ努めるのですが、意思疎通はほとんどできません。聞いてみると、勤務時間は短く、休みは多く、賃金はほどほどならOKで、どんな仕事に就きたいかなどは、特に決めている訳ではないようです。大学ではバイトで稼いで遊び呆けて、就職したら安定収入を得て、尚遊び続けるというのです。

クソのジジイと呼ばれても…

希望社は、低所得者や弱者のために(そして官僚社会に翻弄されている小金持ちのためにも)あります。過大な利益を求めず、薄利で顧客のために役立ちます。世間では、売上げが好調なら売価を高くしますが、当社は売価を下げて提供します。

希望社では、世のため人のために働くことを生き甲斐にできる者を、正社員として求めています。だから、原発の再稼動に反対していますし、消費税増税にも反対しています。

人の話を良く聞き、自分の稚拙な価値観を改めながら、長いものに巻かれず、自分の見識を深くしていくために、他者と切磋琢磨し共に成長する。こんな人材を、塵芥の中から探しています。

国策「ゆとり教育」の果てに、消費と遊びしか知らない、標準化した愚鈍な群集の民は、不要であります。若者には頭の固いクソジジイに映るかもしれませんが、そう呼ばれても変えられません。

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