当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)

遊自耕 不常識を食らう シリーズno.136

さようなら 安倍総理大臣殿

復興を妨げているアベノミクス

東日本大震災から約3年半が過ぎました。しかし、福島第1原発事故による放射能汚染の対策や、津波によって破壊された広範な地域の復興は、今なお進んでいません。

宮城県の災害復興住宅は、3年経過時で計画の10%しか完成していません。被災者のために作られた約4万4000戸の仮設住宅の入居者は、無償入居期間が過ぎて立ち退きが迫られ、この後どこで暮らしたら良いかも定まらないし、経済的にも見通しが立たないでいます。
これら復興事業が進まない理由は、国の政策にあります。予算は付けたが実施できない。建設労働者が被災地に集まらないからです。

わが国の建設投資はバブル崩壊から約20年の間に半減し、それに伴って建設労働者も縮小してきました。そんな建設環境の中で、大量の建設労働者を必要とするアベノミクスという経済政策が打ち出されました。

公共事業関係費の倍増、低利資金の民間市場への大量放出、消費増税前の住宅駆け込み需要。これらにより、日本中が建設労働者不足に陥っています。

復興のための労働力を被災地に集中させるのとは真逆の政策が採られているのですから、災害復興が進む訳がありません。

建設業を破壊するアベノミクス

引き続き進行する建設労働者の減少。若者の集まらない建設業。このままでは、建設業自体が存続できません。

国交省は、こんな建設産業の再生を目指して、政策を示し実行しています。が、これらは現実離れした机上の空論、そうでなければ建設業破壊の政策で、こんなことに国費を費やすべきではありません。

国交省の政策 問題点
国交省の政策建設労働者の賃金引上げ 建設労働者に賃金を支払う会社や親方が、賃金引上げのできる環境にない。
建設業者・労働者両者への、社会保険加入の強制 保険加入には、会社負担分と本人負担分を合わせて、日当の約30%分もの保険料支払が必要。それができない現状があるから、加入していないのである。
女性の労働者としての活用 本当に女性が進出できる職場環境が作れるか、女性が求めて働く魅力ある産業となれるか、極めて難しい。

また、このような政策によって、建設費の異常高騰が続き、住宅を建てようとしている人や、事業用の建築を計画している企業に対して、その実現を困難にしています。

さらに、これらの政策を利用して業績改善を目論むことのできるほんの一部の業者を除き、大方の業者には、アベノミクスの大盤振る舞いが終われば、地獄が待っています。よく考えて経営していかないと、息の根が止まってしまう。どう対処していくのか良く考えていくことが絶対必要だと、私は思います。

風が吹いたら桶屋が儲かる??

安倍総理は、長く続いているデフレに終止符を打つために、日銀の姿勢を転換させ、大量の資金を金融市場に送り込み、円安を促し、それにより輸出が拡大し、設備投資が拡大し、雇用が拡大し、賃金が上昇し、消費が押し上げられ、内需が拡大し…、という好循環を生むと言うのです。

しかし、変化したのは円安と株価高騰だけであり、その他はほとんど変わらない。風と桶屋は話のネタで、そうは問屋が卸さないのであります。

増加する空き家、飽食とダイエット、クローゼットに溢れる衣類の山。有り余る物資に囲まれながら、私たち日本人は、なぜ経済成長しなければならないのでしょうか。

人口縮小のわが国では、成長なき経済を前提にした経済政策を掲げる「政党」と「政治家」の登場が待たれています。

 「美しい日本を取り戻す」意味不明なスローガンを掲げ、軍事大国を夢見る、戦争ごっこの好きなボウヤ達には早く退陣していただき、政策の転換を図らなければなりません。

12月14日は、国民に考える時間も与えず、党利党略のために仕組まれた、衆議院選挙の投票日です。

新しい政権を実現するために、私たちも行動していきましょう。そして原発の再稼動をやめさせましょう。

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