当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
賛同のご意見
批判のご意見
以上は、『「過剰な利益をお返ししたい」希望社が岐阜県に異例の提案』という記事を掲載したケンプラッツ(日経BP社の運営する建設・不動産の総合サイト)に寄せられているご意見の数々です。
言うまでもありませんが、賛同意見は納税者・国民の利益を重視した見方であり、批判意見は業界の悲鳴と官僚の立場からのものであります。
当社の提案は、「制限価格(それを下回る入札は無効になるという価格)より相当安い金額で、問題のない品質の工事ができる」という主張に基づくものです。
この当社の主張に沿って、制限価格が引き下げられたり制限価格制度自体がなくなったりすると、業界談合が無力化され、多くの企業が建設業から撤退することになりかねません。
またこれは、官僚たちにとっては、業務執行上の権益や退職後の天下り・渡りなど、彼らが掴み離さない国民支配システムを脆弱化させることでもあります。
官僚機構により長期間にわたって形作られ維持されてきた利益を奪ってしまうような主張は受け入れ難いという批判者たちの思いは、実によく分ります。
談合がなくなると生命を失う、だから納得できなくても不透明、競争回避、業界本意を守り続けている建設業。しかしその結果、企業力を失い倒産に至る多くの企業があることは、もうよく分っていることではありませんか。
官僚機構の末端で高級官僚に支配され、多くの納税者から無能、税金泥棒呼ばわりされながら卑屈な姿で働く悲しみを知っているのは、自治体職員自身ではないですか。
世界の経済基盤が変化し、急速に社会変化が進んでいる今、いつまでも旧いものにしがみつくのはやめて、建築を求める建主やインフラ整備を願う国民のために役立つ仕事をしていると自信を持って言い切れるよう、役割を改革していきたいものです。
それが、働く喜びであり満足ではないでしょうか。
希望社はこれまで、建築費を2割前後安くしてきました。
建設業は重層下請で成りたっていますので、当社は下請建設会社やその従業員が得ている収益を縮めてきたことになります。
これを悪徳と言うのなら、その言葉に甘んじながら、当社はこれを続けていくことにします。
「880万円返すなどと言わないで、自社の社員や下請業各社のために使ったらいいではないか」という意見も分りますが、その意見に従う訳にはいきません。
なぜなら、当社は建主や国民のために設立した会社だからです。
これまでもお伝えしてきましたが、当社は系列下請会社を持たず、工事の都度多くの専門工事会社に見積参加をお願いしています。
ですから、当社の呼びかけに応えて、熱意を持って工事コスト縮減に協力してくれる専門工事会社があってこそ、880万円安くすることができるのです。
このような会社には感謝の意を伝えていますし、また、引き続きご協力をいただけることになっています。
読者のみなさまには、このような意思のない人達が、2倍もする見積を出しながら希望社批判を行っていることを、お伝えしておきます。
2009年度の建設投資見込は42兆円で、過去最大だった1992年度の84兆円から半減しています。
この数字は、世界同時不況の始まる前の2007年度の48兆円から一気に6兆円もダウンしたものであり、2010年度も38兆円という予測がなされています。
国交大臣の「51万社ある建設業者を20万社に縮減してもまだ多すぎる」という発言は、このような状況を踏まえてのものでしょう。
建設業は顧客からの発注を得て請負を行う業種ですので、発注が激減した環境下で旧いものにしがみつきながらいくらもがいても、生きる道はありません。
今建設業者が生きる道は、これまで建設業で蓄積したノウハウを活用しながら、旧い建設業から生物的脱皮を遂げ、建設業でない事業を併設したり建設業をやめたりする道を模索することではないでしょうか。
希望社に対してご批判を寄せられている業界大多数のみなさまの、勇気ある転換を期待します。